インタビュー企画第一弾は、自称「海外ツーリング普及家」の小口隆士さんです。
海外ツーリングの魅力について聞いて来ました。
小口隆士さんプロフィール 茨城県出身 1995年に初めての海外ツーリングを経験後、サラリーマンでありながら世界中をバイクで駆け回る。 今までのツーリング歴は、オーストラリア、モンゴル、チベット、ガテマラ、ペルー、アラスカ、ケニア、コスタリカ、タンザニア、サハラ砂漠、ウユニ塩湖、カンボジア、グアム島、ホンジュラス、ラオス、ベトナム、タイ、ツバル、キューバ、ミャンマー、マダガスカル、ニカラグア、エルサルバドル、パナマ、ボルネオ、韓国、スリランカなど。 アウトライダー・モーターサイクリストなどのバイク雑誌に海外ツーリング情報やインタビュー記事を掲載。 ワールド・ツーリング・ネットワーク・ジャパン(WTN-J)スタッフ。 ホームページ…サラリーマンでも世界一周 | モーターサイクリスト 2009年8月号に掲載 アウトライダー 2009年8月号に掲載 |
Q:今日はよろしくお願いします。小口さんはサラリーマンとお聞きしてるのですが、普段はどんなお仕事をされているのですか? A:コンピューターのソフトウェア関連の仕事です。一般的な仕事ですよ。 Q:海外ツーリングはどれくらいの頻度で行くのですか? A:年末年始・ゴールデンウィーク・夏休みと年3回が目標なんですが、どうしても2回ぐらいになっちゃいます。 |
Q:1回のツーリングの期間はどれくらいですか?
A:9日間が一つの目安です。最長で12日ぐらいですね。
Q:サラリーマンなのにそんなに長く休みを取れるのですか?
A:休みを取りやすい会社ではあるんですが、年末年始など元々ある休みに有休休暇をくっつけて長くしているので、人よりたくさん休んでいる訳でもないです。平均すると年4〜5日です。
Q:海外ツーリングには1人で行くのですか?大人数ですか?
A:1人で行ったことはないです。必ず誰かと行きますね。大体2人〜4人ぐらいです。
カンボジアの子供達 | Q:今までに行った国はどこですか? A:アフリカ・中南米・東南アジアなどを中心に32ヶ国です。最初は日本の旅行会社のパックツアー(バイクツアー)を利用して行きました。パックツアーで出ていない場所等は自分で手配してます。 Q:自分のバイクを持って行くのですか? A:私は持って行ったことはないです。現地でレンタルバイクを借りるか、バイクツアー会社に用意してもらうかです。 |
Q:費用は全部で大体どれくらいかかるのですか?
A:場所や日数にもよりますが、旅行シーズンのピークを外せば10万円以下でも十分可能です。例えばラオスの場合、現地でかかった費用は7日間で約1万5千円でした。レンタルバイクや宿代も飲食代も含めた金額です。また、韓国なら総額3万円以下で走ることも可能です。
Q:今までで一番良かった場所はどこですか? A:景色としていいのはボリビアのウユニ塩湖です。他は一番をつけるものじゃないと思ってますが、快適なのはアフリカかな。アフリカは人種も考え方も全部違うので、疲れるけどすごく面白いです。中南米はアフリカよりは違いが少なくて、日本人と人種も似てるけど中身は違います。東南アジアは、ベースは日本と一緒で上に乗ってるものが違います。でもどこに行っても面白いです。 Q:ウユニ塩湖ってどういう場所なんですか? A: 元は海だったのが、地殻変動で隆起して海水が蒸発して濃縮して塩だけが残った所です。元が濃縮された塩水なので「真っ白」で「真っ平」になります。その広さは約100km×120kmです。ここ(東京)から水戸や宇都宮あたりまでずっと塩なのと同じです。日本には絶対ないですね。夕方になると横から日が当たって亀の甲羅のような模様ができてすごい景色です。 Q:地面が塩だと走っててスリップしたりしないんですか? A:塩と言ってもカチカチになってて手じゃ掘れないぐらいなので、全然問題なく走れるんですよ。 | ボリビア・ウユニ塩湖 ウユニ塩湖近くの宿 |
Q:小口さんが最初に海外ツーリングに行こうと思ったのはいつ頃ですか?
A:行こうと思ったのは1993〜94年ぐらいで、実際に行ったのは1995年ですね。英語もできないし運転技術もないので行けないと思ってました。私の場合、きっかけはある雑誌に載ってたパックツアーの記事を見て行けるかもしれないと思ったことです。費用はネックでしたが、日本のツアーなので言葉をしゃべれる必要もないしサポートもついてるし。その時は申し込まなかったんですが、その後別のパックツアーに申し込んで行きました。
マダガスカルの子供達 | Q:どうして海外ツーリングに行こうと思ったんですか? A:・・・・(ちょっと考えて)なんででしょうねぇ?単純な憧れかな?オーストラリアだったんだけど、地平線まで続く赤土を走ってみたいとか。オーストラリアとモンゴルは憧れがありましたね。日本にはない景色なんかを最初は求めてました。 Q:今は変わったんですか? A:そうですね。今は景色とかよりも人との出会いを求めるようになりました。 |
Q:海外ツーリングの魅力は何ですか? A:海外では楽に日本との違いを見つけられます。オートバイなら普通の生活に近いところを見られるから、観光地なんかとは違った素の姿が見られます。何の準備もしなくても刺激があるので、怠け者にはいいと思いますよ。例えば東京からツーリングに行こうと思ったら、ルートを調べたり渋滞があったり大変ですが、海外なら乗るところまで調べればいいだけですからね。 | ツバル・国際空港の滑走路 |
Q:意外です。国内より海外ツーリングの方が大変なイメージがあったので。
A:私は怠け者だから海外ツーリングをやってるんですよ。(笑)
Q:今までに危険な目やトラブルに合ったことはありますか?
A:無くはないですがほとんど無いです。ケチャップ強盗という有名な手口があるんですが、一度それに引っかかったぐらいですね。まず一人がケチャップでわざと服を汚してきて、その仲間が親切を装って拭き取りながら財布とかを抜いていくという手口です。一緒にいた全員がその手口を知っていたのに見事に引っかかりました。実際その場になると反応できないのが良く分かりました。他にも道を聞くふりをして盗むとかもありますが、基本的にはあんまりないです。
Q:バイクの故障などはなかったんですか?
A:私じゃないんですが、グアテマラで一緒に行った仲間のバイクのエンジンがかからなくなったことはありました。ちょうどバイク屋の前だったんですがその日も次の日も休みで、困っているところに通りがかったおばちゃんがメカニックのところに連れていってくれたんですがそれでも直らず、2泊してバイク屋が開くのを待ちました。でもパーツの取り寄せと修理で5日間かかると言われて、帰国日に間に合わなくなるので、バイク屋のスタッフやたまたま来ていたお客さんが手分けして探してくれたトラックでバイクをレンタルバイク屋まで送ってもらいました。その後私たちは1泊して帰ったんですが、故障が無ければ出会わなかった町や人が、今ではグアテマラの一番の思い出になっています。合計3日間滞在していたのですが、3日もすれば顔見知りになれます。ちょっとトラブった方が、人と密に接することができるんです。
Q:オフロードバイクでないと海外ツーリングは厳しいですか? A:オフロードの方が楽は楽だけど必須ではないです。走る場所に合ったバイクに乗るか、バイクに合った道を走ればいいんです。スクーターの時もありましたよ。 Q:持ち物は国内のツーリングと違うんですか?海外に持って行って良かったものなどはありますか? | マダガスカル・バオバブ街道 |
A:特にないです。パスポートぐらいかな?持ち物ではないですが、現地の言葉で「こんにちは」・「ありがとう」は覚えていきます。現地の言葉で言うだけで親近感が湧くんです。逆の立場でも同じだと思いますが、外人が日本語しゃべれなくても、「こんにちは」・「ありがとう」って言われれば親近感湧きますよね?
ミャンマーのガソリンスタンド | Q:これから行きたい国はどこですか? A:国連加盟国が約190ありますがまだ32カ国しか行ってないので、残りの国に行きたいです。国の数に価値はないと思いますが、「違い」の一つの目安にはなります。 ※国際連合加盟国は、2010年現在で192カ国だそうです。 Q:一番おすすめの国はどこですか? A:自分が行きたいところが一番です。人が何と言おうと、自分が行きたいところに行けば何かが起こります。 |
それから治安が悪いとかイメージが悪いところに行ってみるのも大事です。日本にいる時の情報と実際に行った時の違いを感じるんです。戦乱状態の地域は避けるべきですが、観光客が入れるレベルのところならほとんど問題ないはずです。
Q:最後に、僕もなんですが、これから海外ツーリングに行くつもりの人に何かアドバイスをお願いします!
A:海外ツーリングはほとんどの人が行けるはずなんです。なぜ行けないのかを考え直してみれば、理由はほとんどないはずです。お金は最低3〜4万円もあれば行けるし、休みは3日間あれば行けます。大型連休などに有給休暇をくっつければ更に色々な場所に行けます。
言葉も問題ありません。ホテルに泊まる・ガソリン入れる・食事する、これぐらいできれば用は足りるんです。日本語で話しても通じますよ。電話では難しいですが、直接会って話せば大体通じます。例えばホテルに行って何か話せば、「泊まりたいんだな」っていうのは分かってもらえます。
北海道ツーリングに行ける人がいたら絶対行けます。逆に今行ける人は、いつ行けなくなるか分からないので今行った方がいいと思います。
海外では、日本では考えられないぐらい親切にされることがあります。その人に会いに行って直接恩返しすることはできないので、間接的にでも返すしかないです。日本に来ている旅人が困っていたら助けてあげたりとか。そういうのが全体的に回りまわっていけば、世の中はもっと良くなると思いますね。各国の大統領や首相等が海外にツーリングに出て、現地の人に助けてもらった経験があれば、その国と戦争なんか絶対できないはずです。
Q:いろいろと参考になりました。ありがとうございました。
Tweet | Check | Share |
投票数:334
平均点:5.18
バイクの松尾さん・北朝鮮の旅 |
インタビュー |
コメント一覧
0件表示
(全0件)
すべてのコメント一覧へ