後編 2006/10/10 ウラルサイドカー東京発・琵琶湖・日本海 ツーリングレポート

2011-3-23 18:30 投稿者:  ゲスト
ご閲覧ありがとうございました。琵琶湖編最終回です。

(後編)
最終日10月10日
0530日が昇り始める頃目が覚める。だいぶ夜露が降りたようだ。フライがびっしょりだ。簡単に朝食を済ませて撤収開始。フライを振って水滴を飛ばす。風に当てつつウエスで拭き取る。帰ったら干さないといけないな〜。撤収しながら地元の散歩のオジサン達の質問攻めに会う。結構好意的なので良かった。サイドカーという特異なキャラのなせる業か?

0630出発前のいつもの儀式、3箇所のオイルチェック(ファイナルギア、ミッション、エンジン)とタイヤのエアチェック、各部増し締め、空キック10発でオイルを回してからエンジン始動。今日も良好だ。今日は500km走らねば。気を引き締めてから素晴らしい朝日の中出発する。通勤通学の人の流れからやや注目を受ける。トパトパとカワサキW3用キャブトンマフラーのエキゾーストはちょっと五月蝿いのかも?最初のGSで給油とエア補給。そして再び北陸道に乗り込む。左に日本海、右に山。イチさんの750の異音は相変わらずだがまずまずのペース。こちらは650ccのM67はちょっと上げて80をちょっと越えると振動の塩梅が良い。しばしこちらのペースに合わせてもらった。快走である。イチさんがデジカメを駆使して走行中の姿を撮ってくれた。なかなかの腕前で貴重な記録になった。天気のよさも海の青さもそれに拍車をかける!いよいよ富山を抜け新潟が近づく。トンネルが増える。M67は快調に進む!この2年の修理の集大成か!大きすぎるほどのFLHのカウルはいざ走ってみるとなかなか具合がいいようだ。ウラル純正レッグガードと併せて肩以外には風が当たらない。風切音は大きいがこれはメットをグレードアップすると良いかも?帰還後の疲労度も差ほどではなかった。ボクサーツインの特性もあるのだろうか?ウラルは非力な面もあるが非常にロングラン向きだと実感した。右手に見えた立山連峰が後方に消える頃、ついに新潟上陸!もう少し北東に進み関越道にシフトするといよいよこのつツアーも終盤だ。天候に何の不安も無く大空の下順調に距離を重ねた。

1000やや早めの昼食、朝食が早かったからね。このあと先を急ぐイチさんには先に進んでもらってもかまわないと伝える。やはり異音が治まらないので帰還後スグにショップ入りするそうだ。夕方には関東入りしたいそう。こちらは特に急がない。速度はもとより体力的な無理は危険だししたくない。不意に同行することにはなったが基本は単独行なので自分のペースは守るべきと思う。ここでもオイルチェック、少しエンジンオイルが減ったかな。増し締めもしておく。キャブが緩むせいかときおり失速してしまう。

1230日本海ともお別れ。いよいよ関越道入り。適当なプランの割りに結構予定通りだ。だが好天に恵まれてポカポカしてきた。眠い。すごく眠いぞ。朝も早かったし昼食後は仕方ない、実は私は帯状発疹という病の後遺症で見た目ほど体力が無いので他人と同じペースで活動するのはなかなか大変なこともある。その辺を無視すると運転は危険だし楽しめなくなってしまうので注意している。PA入りして仮眠を取りたいとイチさんに相談。木陰の芝生にシート広げて30分ほど休んだ。枕も持参してるので快適だ。荷物がたくさん積めるサイドカーの特権!! イチさんは私が寝てる間に先に進んだらしい。夢心地にツインのエキゾーストを聞いた。それでいい。それぞれのペースで行こう。無事な帰還を祈った。

1330いよいよ佳境だ。ペアが終わり再びソロになったいま、再び試練は訪れた。待っていたかのようだ!速度が出ない!出始めの70kmから50まで落ちる。完全に片肺。走りながら右の燃料コックを閉じてみる。プラグキャップを外してみる。何も変わらない。往路と同じ症状。キャブを増し締めしても駄目。PAごとに点検、補修、トライ&エラー!

1530何度目のPAか?あせる心も涌いてくる。冷静に考える。今までの症状。今まで処置。共通項を探す。原因にならない物を消去法で消していく。右キャブの二次エアの混入であると結論する。注意深く見る。日差しのある時間だけがチャンスだ。「!」わずかな隙間を見つけた。なんとヘッドに直付けするタイプのビング製キャブレターの取り付けフランジが湾曲している!?平面だったはずなのに。何で!?とにガスケットを増してみる。工具入れに放り込んだ汎用ガスケットシート。本当に使うことになるとは。しかし結果は駄目。まだ何か足りない。ゴムシートでガスケットを作る。駄目だ!内側にはみ出してベンチュリ口径を狭くしてしまう。「そうだ!!」樹脂製のインシュレーターを湾曲に合わせて削ってみる!そうだ!これだ!

1600日が傾きかけている。意気揚々と出走する。GALA湯沢の駅が見える。急に風が冷たい。寒い!! いよいよ関越トンネルだ。しかし、駄菓子菓子!速度は上がらない!片肺だ!しかも工事で1車線規制!真後ろに大型観光バス!冷や汗が出る!速度は上がらない!やっとの思いで関越トンネル直前のPAになだれ込んだ。止まらなくて本当に良かった。あ〜ヤベェー!

1630山陰の日差しは弱く冷たい風があせる心を煽りやがる!トンネル全長は10km!待避所もろくに無いぞ!ここでエンコするのはマジヤバイ!もう一度頭を振り絞る。これでもかと振り絞る。自分の経験値のすべてを総動員する!そうだ!ここを乗り越えるんだ!

「南無!」と祈る!冷静に考える。頭をクールな方に切り替える。どのみち改善すべき事象だ。しかも高速でないと出ない症状。お金をかけないと高速には乗れないわけで、後で調査するにもお金がかかる。そうだ!この際この帰路で直してしまおう!そうだ!これはチャンスなんだ!!

ポジティブになった頭をふとよぎる。昔のバイク雑誌に載ってたオビカタユウ(知ってるかな?)の漫画のワンシーン。折れたレバーを有り合せの部品を地面で削って付け直したベテランツーリスト。「付くか付かないかは問題じゃなくてさ。付けちゃおう!ってね。カッコいいと思わない?って自分で勝手に思ってるだけなんだけどさ〜。」

そうだ!キャブを削ろう!コンクリートで!この場で面出ししよう!そうだ!それしかない!

早速右のキャブを外す。ボクサーツインは整備性が良いな!フランジ面は湾曲もあるがどうやらシリンダーとの接触面に「ヒケ」があるようだ。製造エラーか?明らかに引けがある。コレが2次エアの元凶だ。ついに見つけたぞ!ガスケットでは補えないレベルのヒケだ。PAの路肩のコンリートに押し当ててゴリゴリと削り始めた。CRCのミニボトルで洗浄して時折確認する。徐々に削れて良く。観光バスの酔っ払いのオジサン達が怪訝そうに通り過ぎる。のんびりトイレ休憩だ。すごいギャップだ。これも製造エラーか?w(イヤ違う)

CRCが底を付いた。洗浄もラストか…。破片を吸い込んでは元も子もない。念入りに洗浄。ウエスで拭き取る。組み付けしてハラハラしながらトンネル突入!なんとか走るようだ。若干変な排気音も出る。駄目なのか?止まるのか?持つのか?持たないのか!?気が気ではない10kmを越えてウラルは谷川岳PAに命からがらたどり着いた。やや不調が残るようだが左右のプアラグの焼けに差は無い。改善されたようだがどうなんだろう?念のため今度は火傷しながら熱いフランジに回りに耐油液体ガスケットを塗りたくる。もう手は尽くしたぞ!あとはどうにでもなれ!

1700いよいよ日が暮れ始めた関越道。埼玉までずっと下り坂なのが救いだ。70kmを維持してウラルは進む。左右排気音に異常は無い。克服できたのか?まだ安心できない。慎重に進んでいく。新潟、群馬、埼玉と過ぎていく。これでこのツアーも終わるのか。80は出ないが70ならイケるようだ。二次エアを退治して根本的にセッティングを見直す必要が出たのか?多分、上でかぶってるな。まぁ、今日はもう良いや。帰ったらニードルを1段下げよう。

1930鶴ヶ島JCから圏央道にシフト、フィナーレだ!日の出ICを過ぎてあきる野IC、「日常」の景色へ

20001000kmオーバーを走りぬいた相棒ウラルM67の労をねぎらい、また感謝しつつ故郷にたどり着いた。特に変わり無い我が町の灯火だったが気分は晴れやかだった。思えば疲労困憊と言うほどでも無い。ケツも痛く無い。意外と良いシートだな。ありがとうウラルM67!また出かけよう!まだまだ日本は広いぞ!さぁ!次はどっちだ!(終)

走行距離 計1100km
1日目    420km 燃費10km/L
2日目    200km 燃費13km/L
最終日    480km 燃費13km/L
積載装備   サイドカー満載のキャンプ道具と後付けパニアケース2個+根性w
ここでお昼寝!翌年もここだった。
ここでお昼寝!翌年もここだった。
修理中!
修理中!
アジトへ帰還!
アジトへ帰還!
地図